テーマ02 開口部最適化と蓄熱による無暖房化と光環境・プライバシーの両立

日本の戸建て住宅の構造は熱容量の小さい木造が主流で,省エネルギー推進の観点から断熱性能と冬期の日射取得性能を向上させると、太陽熱によって昼間に過剰な室温上昇が起こる一方で,夜間には冷え込みます。

平均室温は快適範囲を維持できているにも関わらず,実際には一日の室温変動が大きく,昼間に日射遮蔽をし,夜間は暖房するなどの対策を執らないと快適性に問題が生じてしまいます。木造住宅に熱容量を付加するためには,これまで部分的にコンクリートや土壁を設ける方法が一般的でしたが,特定の温度帯での熱容量が大きく比較的軽量な潜熱蓄熱材(Phase change material,以下PCM)を用いることで,荷重の増加を抑えつつ熱容量を増大させることができます。

この場合,開口部からの透過日射熱取得をまずPCMに吸熱させ昼間の過剰な室温上昇を抑制するとともに,高い断熱性能の躯体によって熱損失を減らし,PCMからの放熱だけで朝方まで室温を高く保つことが理想です。一方で,PCMは一般的な建材に比べて高価なため,より設置効果の高い敷設位置を見極めることが課題になります。

2019年度の冬には、実大実験棟を用いて、高断熱高日射取得開口部から日射熱を取り込み、躯体で蓄熱・放熱を行うことで、1月の晴天日にて、暖房を稼働させないでも、室温を18℃以上維持できました。これからも、実験及び熱負荷計算より、「十分な断熱」「太陽熱取得」「躯体の蓄熱・放熱」を活かした、より高性能な開口部・蓄熱部材の開発、そして丁寧な設計手法を検討します。

 

 

 

プロジェクトリーダー 季思雨さん

太陽熱ダイレクトゲインと蓄熱を活用した無暖房住宅の研究紹介 <PDF> <動画>

  岸本尚子さん(博士課程・YKKAP株式会社)

日射制御とプライバシー性を両立する開口部の温熱環境・光環境評価法および部材の開発
<PDF> <動画>

本研究はYKKAP・インテグラル社・日本潜熱蓄熱建材協会と実施しています。

発表論文

実験棟における冬季の床下吸放熱特性の評価 空気式太陽熱集熱を利用した住宅のシステム性能改善に関する研究 その1

許容時間率を用いたダイレクトゲイン太陽熱暖房住宅評価法に関する研究

壁体熱特性測定装置を用いた部位の吸放熱特性の評価法の提案   −壁体構成を考慮した潜熱蓄熱建材の蓄熱性能の比較 その1−

潜熱蓄熱材の熱特性の測定法および熱的挙動の計算法に関する研究 パラフィンを対象とした見かけの比熱・熱伝導率の測定および非定常熱伝導計算による相変化挙動の再現 その1

日射制御部材と潜熱蓄熱建材を活用したパッシブソーラーハウスに関する研究 波長特性を考慮した日射分配と仕上げ材の熱抵抗によるPCM 蓄熱性能の検討 その1

波長特性を考慮した日射制御と潜熱蓄熱材によるダイレクトゲイン手法に関する研究

その1 床・天井併用蓄熱による効率的な蓄熱方式の検討

その2 温熱環境向上と暖房負荷削減効果の検討

その3 効率的な吸放熱を行う建材仕様の検討

その4 実測とシミュレーションによる暖房負荷削減効果とオーバーヒート抑制効果の検討